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「じゃ、そこの窓から離れてください」一十三は窓へ近づいて顔を出し、外の風を感じ取ると、
元の場所へ戻ってスリングに弾を装填した。この新型スリングにも大分慣れた。背中の筋肉痛も既に無い。
特に最近は体が軽くなった。すうっと両腕を上げ、弓を引く様にスリングのゴムを引く。いつもの不思議な感覚だ。
周りの雑音が消え、弾道がありありとイメージできる。外の空間と自分の中の世界が一体に溶け合う感覚がする。
一十三はこの感覚が大好きだ。只ならぬ一十三の気配に周りの人間が息を呑む。「何だ、これは?」森田が訝しげに呟く。
森田は若い頃剣道をやっており、全国大会で優勝した経験を持つ。そう。決勝戦で闘った時の、あの闘氣だ!
あの空気が凝結した様な凄まじい氣の嵐が今、目の前の十八歳の少女から放たれている!
「ストレート」一十三がそう呟くと、ゴム弾が放たれる!
バシュっという音と同時に、五十メートル先にある標識からパーン!
と金属を弾く様な音が聞こえた。皆一斉に標識の方を見る。
五十のゼロのど真ん中に小さな丸い穴が穿たれている!
そして、その場にいた全員が耳を押さえた。
一十三が弾を放った後、少し遅れて耳鳴りがしたのだ。
ソニックブームである。物が音波の速度を超えると衝撃波が発生する。
弾が直接当たらなくても弾道の周囲のものが衝撃を受けるのだ。見ると開けた窓ガラスにヒビが入っている。
「凄い・・・ライフル銃並みだ・・・」森田社長が呟くと、それまで唖然としていた皆から物凄い歓声が沸き上がる!
「おい、見たか!」「見た見た!」「すっげえ!撃ったと同時にパーンって鳴ったぞ!」「鳴った!同時に鳴った!」
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