第1章

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「でもな、徳子……」 久しぶりに聞く優しい口調に、 「なぁに?」 徳子も優しく聞き返す。 「あのカニクリームコロッケはダメだ」 「えっ?」 何を言い出したのか解らなかった。 「いや、悪くはないんだ…… ただ即効性があり過ぎる」 「一体何言ってるの……」 「これもお前に言ってなかったな」 夫は喉の渇きを潤すようにビールを一気に飲み干す。
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