第1章

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「ただいま」 夫はいつもの時間に帰宅した。 他所と比べるのはおかしいが、普通の家より随分遅いと思う。 いつもの様に先ずは冷蔵庫を開け、買ってきたビールを冷やしている。 夫は食事のあとは晩酌をしながらテレビを見るのが日課。 徳子は眠さに負けいつも先に布団に入る。 会話は「おやすみ」のみ。 「おっ!珍しいなぁ…… カニクリームコロッケじゃないか」 夫は珍しく献立に食いついてきた。 「美味しそうでしょ?」 「あぁ、すぐに食べるよ」 ネクタイだけ緩め、椅子へと座る。 徳子は炊飯器へと向かい、ご飯をよそぐ。 震える手に「落ち着け、落ち着け」と念じながら……
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