第1章

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「どうぞ」 茶碗をテーブルの上に置くと、夫は箸を取って皿の上へと手を伸ばす。 サラダを食べ、味噌汁を飲む。 一つ一つの行動にドギマギする。 箸が再び伸び、カニクリームコロッケを掴んだ。 口へ運ぶ姿がスローモーションのように見える。 「はぁ…はぁ…」 徳子は荒ぶる息遣いを必死で抑えた。 「おっ!」 夫の叫び声にビクっと体を強張らせる。 「美味いな、これ」 夫は二つ目、三つ目とコロッケを食べていった。
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