第1章

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全身の力が抜けた。 何事も起こらない。 ただただ残っているカニクリームコロッケを見詰める。 「ん?お前は食べたのか?」 急な夫の質問に、 「い、いえ……」 つい素直に答えてしまう。 「食べてみろよ、美味いから」 再び違うドギマギがやって来る。 夫の箸がコロッケを掴み、徳子の口元へ……
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