第2話 秘密

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――駿河家から脱出できた頃には、もう陽は落ちかけていて、杏色の空が私を照らしていた。なんだか物寂しい気持ちになる。 駿河の部屋から出る前に、私の連絡先を紙に書いてから帰った。 いまどき交換方法はいろいろあるだろう、と思ったけど、やつが紙に書けというので素直に従ってやった。 駿河の家から私の家までは、徒歩で10分もかからない距離だった。 あんなやつとご近所なんて本当に憂鬱だ。 「ただいまー」 「お帰り、莉緒、駿河さんところに遊びに行ったんだって?」 「……まぁ、そんなとこ。着替えてくる」 家でまで駿河の話をしたくなかった私は、適当に話を終わらせて自分の部屋に行った。
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