第2話 秘密

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”一緒に帰りたくないんだけど”と連絡すると、すぐに”却下”と返事が来た。 こいつ、私の秘密を握っているからって強気だな。 ……女の子を目の前にしてもまともに話せないくせに。 このアンバランス感が腹立つ。 「莉緒、すごい顔でスマホをにらんでるけどどうしたの?」 「ちょっといろいろあってさ……そのうち相談させて」 「うん、分かった。いつでも誘って。電話でもいいし」 美鈴は優しくて、いつも私のことを受け止めてくれる。 容姿端麗で頭もよくてスポーツ万能で……彼女が男だったら間違いなく惚れている。 「私、美鈴と付き合いたかったな……」 「はは、何それ、私はそんな趣味ないわ」 駿河なんかと付き合うんだったら、同性の美鈴と付き合ったほうがマシだ。 スマホに更新されていくメッセージを眺めながら、半ば本気でそう考えていた。
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