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「莉緒ちゃん、ごめんねぇ。綾人ってとっても無口でしょう。いつの間にか女の子のことがとっても苦手になったみたいで。よかったら莉緒ちゃんから話を振ってあげてね」
「え?……は、はい」
おばあさんは言いたいことだけ言い終わると、颯爽と部屋から去って行った。
今さらっと駿河の秘密をバラしたように感じたけど……気のせいか?
ケーキが来ても一向にテーブルには近づこうとしない駿河の様子をうかがう。
私が駿河のほうに体を向けても、彼は一向にこちらを見ようともしない。
「ねぇ、本当に女の子が苦手なの?」
「…………はい」
「いつから?」
「………………幼稚園、くらい」
よっぽど私と話したくないのか知らないけど、私の質問に対する彼の反応は亀並に遅く、声も消えるように小さかった。
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