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あのとき子供だったボクとヒグチは彼女がそのカタコトの日本語で「まさかー」と言ったと思ったが、果たして真実はそうだったのだろうか。
そうだ、何で彼女が日本語を言ったのだと断定できるのだろうか。
英語が母国語と言ってもいい彼女が。
ヒグチはどうだか知らないが、最近、海外への出張もあるボクは受験英語がサビ付いた脳髄を絞り出す手間もなく、すぐその単語に思い至ってしまった。
一気に淡くボクを包んでいた酔いは散り、とめた足下には真っ暗な闇が広がった。
どこか閉じていく世界に一人取り残されたような寂寥感を感じた。
晩夏にしては静かな夜だった。
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