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「コレハナニ?」
「ナニカ・・・エニィアザア・・・」
その整った容貌もあって、当初は、ボクも含めてクラスの男子全員におおむね好評だった彼女の評価が一変したのは、女子の中心だったヒライさんが噛みついたからだった。
「なんかイキってる感じ」
英語の方が得意だと公言してはばからないサナダさんの経歴が仇となることとなった。
「だよな」
そしてサナダさんとヒライさんを天秤にかけていた当時のクラスの絶対権力者、『かっちゃん』ことカタセユキヒコ君がこれを機にヒライさんとの距離を一気に縮めようと同意に回ったのも大きかった。
そして、四月二十五日、その日がサナダナオコという存在に対してのクラスの対応が決定した日になった。
その日を境に、サナダさんはいきってる帰国子女になり、さらに一週間もしない内にクラスという『公共』の敵になった。
シカト(無視)、シカト、シカトの連続。
当初は動揺し、なんとか関係を取り繕おうとしていた彼女だったが、やがてこの活動がどうしようもない暗いところから出てきていることに考え至ったのか、いつしか暗い目をして誰とも話さなくなり、黙り込むようになった。
そして四ヶ月後、先生の口から彼女の転校話が出てきたのは、夏休みの直前で、彼女がすっかり無口な人間として完全にクラスの静物と認識されていた時だった。
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