一之唄

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「ごちそうさまでした」 女の子はささっと食器を重ねる。 チラリとサラダを見て、近所に住んでるうさぎにでもあげるわと言った。 テーブルの上には1枚のコインだけが残っている。 「そのコイン何?」 キッチンから帰って来た女の子が言った。 「一晩泊めてもらって朝ご飯まで出してくれたお礼です。働いていないものでこれだけしか無いのですが…」 コインを手に取って裏と表を真剣に見ている。 「どうかしました?」 「あー!このコイン昔見た事があるわ!」 「昔?」 「凄いよ!凄い!」 女の子はコインを握ってぴょんぴょん跳ねながら言う。 「そんなのよくある500円玉…」 「200年前のお金でこれ1枚だけでマニアの間では50万円するとか聞いたわ」 「何を言っているのです?」 「だからこのお金は50万円…」 「そっちもですが、200年前?」 「テレビで言っていたわ」 「…そうですか」 女の子の冗談だと軽く流した。
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