一之唄

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どれぐらい経ったのだろうか。 瞼の向こう側が明るいように感じた。 朝になったのだろう。 もう少し寝ていたい、たくさん寝たから身体がキツいのかもしれない。 私は毛布を頭まで被った。 「毛布?」 目を開けると薄い桃色の毛布が自分に掛かっていた。 こんな物、学校帰りだった私が持っているはずもない。 この家の住人が掛けてくれたのだろうか。 「うわああっ」 住人に礼を言おうと立ち上がろうとしたらバランスを崩したらしい。 どうやら私はソファの上にいたようだ。 床に毛布とともに転がった。 「いっ…たた…」 毛布がクッションになってくれたとは言え、結構痛い。 痛みが少し和らいだ時、階段を駆け下りる足音が聞こえた。
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