一之唄

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テーブルにはパンで目玉焼きとベーコンを挟んだサンドウィッチとサラダが置いてある。 「はい、手を合わせてください!」 「合わせました」 「いただきます!」 女の子はサンドウィッチをナイフで丁寧に小さく切り、フォークで口に運ぶ。 私はそのままかじりつこうとした手を止めた。 「…ん、そのまま食べていいんだよ!フォークで食べると友達は笑うけど私はこう食べたいの」 そうか、と納得してサンドウィッチをかじる。 「美味しい」 女の子がにこにことこっちを見ている。 「どうしました」 「朝ご飯を誰かと一緒に食べるの久し振りで」 「貴方の両親は?」 「暫く会ってないわ。一人暮らし始めて半年経つけど一度もね」 「…君、一人暮らし出来るのかい」 「え?」 戸惑った表情を見せる。 「あ!これでも18なのよ!」 「それはすまない」 私が笑いながら言うと女の子はムッと顔をしかめた後、口角を上げた。 「貴方、笑った方が素敵よ。ごちそうさま」 急いで残りのサンドウィッチを口に入れる。
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