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「おい 雅、てめぇ………学生時代 何回俺を落とし穴に落としたか……忘れてた訳じゃねぇーだろーな………?」
「うーーん 何の事かな~?
僕には、勇がどの事を言っているのかさっぱりだよ」
「………ほーう…、それは あれか?
思い当たる事があり過ぎて分からねーって解釈して良いんだな?」
「はははー、どうだろうね?」
そう言いながらニコニコ笑う雅に怒りを通り越して呆れてしまう
こいつは、学生時代……いや 出会った日からこんな奴だったじゃねーか
「………………はぁ、」
「勇、ため息をつくと幸せが逃げてしまうよ?」
「………誰のせいだと思ってやがる」
「僕のせいだって言いたいのかい? 心外だな~」
そんな事、一ミクロンも感じてねー顔で言った雅は 視線を外にやる
俺もそれに習って外に視線をやるとついに捕まってしまったのか……紬様が地面に正座をさせられ茉白にお説教を食らっていた
そんな光景に昔の記憶が重なり小さく笑みを浮かべると踵を返す
長くなるであろう茉白の説教にタオルと飲み物を用意しようと思ったのだ
「あっ! 雅、僕にも麦茶宜しく頼むよ」
道場を後にしようとした俺の背中に雅の声が掛かるが足を止めずに手を振ってそれに答える
「あーー…… あつ……、」
外に出た俺に容赦なく降り注ぐギラギラとした太陽の日差しに眉間に皺を寄せ 小さく呟く
そんな日差しの下で未だに説教をしているであろう茉白とその怒りが早く収まる事を願っているであろう紬様が心配になり急いで屋敷に向かう
「本当、生意気だよ」
だからそんな俺は、知らない
俺が出て行った道場で雅がそんな事を呟いて嬉しそうに笑っていたなんて
知ってたらその脳天に拳骨でも落としてやれたのに本当、残念だわ(笑)
勇side END
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