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誠の突撃訪問から数日が過ぎ……今日は、寮に帰らなくちゃいけない日
実家での生活は、先生達から出された課題をやったり、たまに来てくれるお爺ちゃんと父さんとで稽古に励んだり……穏やかかつ充実した日々だった
そうそう、父さんが社長を務める会社にも見学しに行ったんだぁ~
良い体験が出来たと思ってる
ガチャ
「紬? 用意出来た?」
夏休みの事を振り返ってたら部屋の扉が開いてそこから茉白が顔を覗かせる
『うん、もう行けるよぉ~』
言いつつ、ベッドの横に置いたバックを肩にかけると部屋を出た
キャリーバックは 既に車のトランクの中だ
「……何、ジロジロ見てるのさ」
『ん~? 私服の茉白、久しぶりだなぁ~って
ほら ずっと燕尾服だったからぁ~』
そう言ってヘラリと笑った俺の目の前には、黒のTシャツに青のチェックの薄手の半袖シャツを羽織り黒のスキニーを履いた茉白が立っている
『うん、似合ってるぅ~♪』
「………………っ!?!? ば、馬鹿な事言ってないでさっさと行くよ!?!?!?
遅いと置いてくんだから!!!!」
………心の中で思ってたつもりが声に出ちゃってたみたい~
俺の前をズンズン歩いて行っちゃう茉白に苦笑いを浮かべながら茉白の後を追いかけた
『あっ、茉白……!!!! ごめんっ、ちょっと待って……!!!!』
「…………………?」
少し走った所である事に気付き、茉白の背中に声を掛け 立ち止まってくれた事に安堵しつつ部屋の前に戻る
ガチャ
『……………………』
ゆっくり扉を開けたそこは、何処か寂しさを感じる
『 行ってきます 』
勿論、返事は返ってこない
俺は もう一度ゆっくり部屋を見渡すと扉を閉めて待っててくれていた茉白に駆け寄った
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