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「ううっ……紬、もう行っちゃうのかい……っ………?」
グズグズと泣きながら俺を抱きしめている父さんの声が辺りに小さく響く
『…………………;』
そんな父さんにどうしたものかと悩んでいると後ろに控えていた田中さんと東雲家に仕えてくれている数少ない使用人さん達と目が合って苦笑いを浮かべた
うん、助けてはくれないんだねぇ~
微笑ましそうに俺達を見つめている田中さん達から視線を外すと内心 ため息を吐いた
俺と茉白は あれから2人で玄関へ行くと靴を履いて外へ出た
そんな俺達を待っていたのは、それぞれの両親と田中さん達の暖かい笑顔だった
若干一名 既に涙で顔をグチャグチャにしてたけどねぇ~
「つーーむーーぎーーーーっ!!!!」
『………………ぐえっ!?!?』
家の中がいつもより静かだと思ったら皆、此処に居たんだ~ なんて思っていたら聞こえてきた自分の名前を呼ぶ声と強い衝撃にカエルが潰れた様な声が出ちゃったのは 仕方ないと思う
いや、カエルが潰れた時の声なんて聞いた事ないけどねぇ~?
………ってな感じで冒頭に戻るんだけど……父さんは、いつまで俺を抱きしめているんだろう
正直言って暑いし、ドンドン強くなる腕の力と夏の暑さも手伝ってもう限界だ
お隣さん……って言っても随分離れてるんだけど そこで可愛がられてたパトラッシュが尻尾を振って俺を迎えに______
「あらあら、雅さん そろそろ紬を離してあげて?
そうしないと紬が今にも旅立ってしまうわ」
「………………!!!! 何て事だっ!!!!!!
僕とした事がっ………紬、大丈夫かい? ごめんよ………?」
『……大丈夫だよ? 父さん
それと母さん、ありがとう 助かったよ』
「ふふふ、どういたしまして」
そう言って笑う母さんは、本当 神様だ
大袈裟だと思う人は 1度父さんに抱きしめられてもらったら良いと思うよ うん
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