第1章

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白シャツに折り目のキチンと入った黒のボトムスは私が着ると、どうしてもシルエットがゆったりとしてしまう そんな事を思いながらボトムスと同じ色のサロンエプロンを付け厨房・ホールへと続く通路を歩く 両手を丁寧に洗い、厨房への扉を開けた 「 長井、ホール入ります。声出し確認お願いします。『 いらっしゃいませ』『ご案内いたします』『お待たせいたしました』『有難うございました』」 この私の声が終わると、厨房の奥から「OKでーす」の返事が聞こえると「よろしくお願いします。」と言いながら厨房を出てホールへと向かう 「 いらっしゃいませ。何名様ですか?」 「 2人なんだけど…。」 「 2名様ですね。おタバコはお吸いになりますか?」 「 いいえ。」 「では、お席へご案内いたします。」 トレーを片手に入ってきたお客様をいつものように席へと案内する 「 こちらのお席で宜しいですか?」 「 はい。」 「 お決まりに成りましたらそちらのボタンでお知らせください。」 このファミレスでバイトを始めてもうすぐ4ヶ月 自宅からも通ってる高校からも決して近くは無いこのバイト先だけど、悪く無いと思ってる 「 お待たせいたしました。和風ハンバーグのお客様?」 「 あ、はい。」 週に3日、この日も午後5時半から8時半までの3時間働いて ホール・厨房から再びスタッフ達の更衣室・ミーティング室を繋ぐ通路を歩いて行くと 「 なー、頼むよ。奥田。」 「 えー!!だって、そうすると俺5連勤になるじゃないっすか!?キツいっすよ…。」 私と同じ高校1年の奥田君と1つ年上の佐倉さんが男子更衣室の前で話している 「 お疲れ様です。シフトの交換?」 私が問いかけると 「 お疲れ。そうなんだよ。…高見さんは?あの人も24日休みでしょう?」 奥田君が私に返してくれた後、佐倉さんに向けてまた話し掛ける 「 高見さんには前に代わって貰ったから悪くてさ。」 「 俺にもそういう感情持ってくださいよ。」 「 24日どうしても無理なんだって。頼む。」 二人の会話を聞きながら、男子用と通路を挟んで向かい合わせに在る女子更衣室に入り着替えを済ませると店を出て自転車のチェーンを外し乗り込むとゆっくりとこぎだした ……今日は居るかな?
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