第1章

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ファミレスの駐車場を出て、右方向に北進しながら2つの十字路とリサイクルショップ、子供服量販店、大型スーパーと通り過ぎると国道同士がぶつかり合う大きな交差点に差し掛かる ここから左折して西に向かうと駅へと続く 赤信号が青に替わるまでの間、交差点の右斜め向こうにいる人影を眺める 街灯に照されて見える顔には見覚えがある 私と同じ寺沢南高校の、クラスこそ違うけれど、同じ高校1年の松下優君だ 松下君は…いつもあの場所にいる あの看板の前に…… 今から半年前、当時中学2年生だった女の子がひき逃げにあい亡くなった その事件の目撃情報を募る看板だった バイトを始めて彼がよくそこに居る事に気付いて さらに同じ高校に通ってると知ったのは1ヶ月くらい前だったと思う 声を掛けた事も、掛けられた事も無い 向こうは私の事なんか知らないと思う こうやって眺めてる事も…… と、目の前が青信号に替わった事に気付いた所で足元がふらついて自転車ごと体が大きめに動いてしまう 何とかバランスを取り戻して静止したけど、左折しようとする車に大袈裟と思えるほどの回数クラクションを鳴らされる 数秒の間早く成った鼓動が治まってから道路を渡り切ると 「 ねー、大丈夫?」 道路の向こうから話し掛けられ、自転車を止めると こちらを観てる松下君と眼が合った
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