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「 あ…。だ…大丈夫!?どこかに当たった訳じゃないから!?」
張りぎみの声で通りの向こうに応えると、松下君の次の言葉を待ってしまう
だけど…なかなか返しは無くて
そのままペダルをこぎだそうとした時
「 あ、あの……この辺に住んでる?」
再びの松下君の声に止めた私の体を通り過ぎる車のヘッドライトが照して行く
「 あ……ううん。バイト先がこの近くにあるから。」
車の音が小さく成ってから返す
「 いつもこの時間?」
「 え?うん。」
「 半年前もここ通ってた?」
「 …ううん。その頃はまだバイト始めてないから…。」
「 あ……そうか。」
ここまで会話を交わして、少しトーンが落ちたように思えた松下君が私に何を期待したのかが解った気がした
中々動き出せずにいると
「 あ、ゴメン。呼び止めたりして。」
そう言って松下君が歩き出そうとする
「 あ、あの……ね。」
今度は私が松下君を呼び止める
こちらを見た松下君に向けて
「 松下…優君でしょう?」
と問いかける
「 え?」
驚いてる松下君に向けて
「 私も同じ寺沢南高なの。学年も一緒。」
ここまで言った所で大型トラックが通って行き、大きな音が辺りに響き渡る
「 私、寺沢南高の1年なの。」
言い直した言葉に
「 そう…なんだ。」
松下君がちょっとこちらに近付く
「 うん。だから…… 」
ここまで言った所で、私は道路を渡ろうと左右を確認する
「 や、待った。俺がそっち行くから動か無いで。頼む。」
そう告げられるままにじっとしていると、本当に松下君がこちら側へとやって来たのだった
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