第1章

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先輩達と別れた後は家に帰って、ベットに倒れこんだらいつの間にか寝てて、それから起きてご飯を食べた。 そしてお風呂だ。 湯船の中で体育座りして今日のことを振り返る。今日、私に先輩ができた。 友達よりも先に先輩ができるなんて変だけど、でも嬉しかった。りせ先輩が言うように、友達にもなれると思うし。 もうずっと一人なのかと思ってた。本当は友達じゃない人達と、友達みたいな顔して過ごして。 寂しかった。でも、その寂しさをぶつけられる友達もいなかった。寂しさをぶつけられないのは今も同じだけど、だけどもう寂しくはない。 私にはりせ先輩と夏希先輩がいる。 きっといつかこの嬉しさにも慣れて、今以上を求めてまた寂しくなったりする私なんだろうけど。それでも、今日までよりも寂しくなることはないと思う。そう思いたい。 なんて考えてたら、不安がほどけたのか安心したのか涙が出てきた。変な声が出るし、息は苦しいし拭っても拭ってもぼろぼろ出てくる。 普段全然泣かないし、泣いてやろうと思っても泣けないのに。 自分が泣いてるのが反響して聞こえて嫌だったけど、誰にも泣いてるところを見られたくなくて私は私が泣き終わるのを待った。泣き終わるまで泣いた。 出る頃には逆上せて頭がくらくらした。 今日は授業中ずっと帰りのことを考えていた。頭がいっぱいだった。 選択授業の音楽がないから、りせ先輩に会うようなこともないけれど。 ただ一つ、心配事があった。待ち合わせ場所を決めてなかったのだ。そのせいで、ますます授業のことを考える隙間は無くなっていた。 もうすぐ放課後になる。 それまでに私が考えた一方的な待ち合わせ場所は生徒玄関だ。校門って案もあったけど、もしかしたら先輩達に私を探させてしまうかもしれないと思ってやめた。 生徒玄関で待っていれば、絶対会えるはずだ。 帰りのHRが終わったら、すぐに生徒玄関に向かう。帰りの挨拶もおざなりだ。 誰よりも先に生徒玄関に来るようにして着いた。これですれ違いの心配はないはず。 上を向くようにして少し落ち着く。そして今のうちに髪を結び直しておく。 まだ先輩達の姿は見えない。さっき置いて来たクラスメイト達が追いついてきて、私を見つけて「誰か待ってるの?」と聞いてきたり、改めてバイバイを言ってきたりしたので「……うんまあ、そうだよ?」と返したりバイバイを言ったりする。
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