第1章

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生まれながら言葉をほとんど 話す事が不自由な彼だが、 知る人ぞ知るところで、すでに60歳は越えている。 彼は、愛嬌が良いことで 買い物に来るおばさん連中の人気者。 「あら、ハルオちゃん久しぶりね、 ここの商店街もハルオちゃんの おかげでこんなに栄えてよかったわよ」 ハルオちゃんは、目をジッと見つめながら 笑みを浮かべて何度もコクコクと頷く。 「私は、ハルオちゃんから良い嫁に なるってありがとうね、 これ美味しいから食べて、食べて、 風邪引かないように気を付けてよ」 おばさんは、気さくに声をかけ 彼に買ったばかりの唐揚げを渡した。
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