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生まれながら言葉をほとんど
話す事が不自由な彼だが、
知る人ぞ知るところで、すでに60歳は越えている。
彼は、愛嬌が良いことで
買い物に来るおばさん連中の人気者。
「あら、ハルオちゃん久しぶりね、
ここの商店街もハルオちゃんの
おかげでこんなに栄えてよかったわよ」
ハルオちゃんは、目をジッと見つめながら
笑みを浮かべて何度もコクコクと頷く。
「私は、ハルオちゃんから良い嫁に
なるってありがとうね、
これ美味しいから食べて、食べて、
風邪引かないように気を付けてよ」
おばさんは、気さくに声をかけ
彼に買ったばかりの唐揚げを渡した。
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