第1章

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ハルオちゃんはいつも通り座りながら 眺めているだけだったが 相変わらず通行人が挨拶をする度に、 コクコクと会釈していた。 その時、4番目にお参りをしようとした彼女に向かって、 ハルオちゃんが一言だけ声を出す。 「さぁちゃん」 彼女は、ビックリしてしまった。 「えっ、びっくりしたぁ、あっごめんなさい」 思わず、何かを注意されたのかと 思い恐れ恐れに、彼へ頭を下げた。 ハルオちゃんは、違うと言う意味で にこやかに首を振っている。 もう一度、彼女をジッと見つめながら 「さぁちゃん」と言いながら 何かをうったえかけていた。 たまたまそのやり繰りを見ていた 御稲荷様の正面にあるお茶屋の店主が 近寄って来て、彼女達に話しをかける。 「君に、ハルオちゃんが、 さっちゃんって言ったんだろう」 「多分そうだと思いますけど、 それって何かあるんですか?」
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