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ハルオちゃんはいつも通り座りながら
眺めているだけだったが
相変わらず通行人が挨拶をする度に、
コクコクと会釈していた。
その時、4番目にお参りをしようとした彼女に向かって、
ハルオちゃんが一言だけ声を出す。
「さぁちゃん」
彼女は、ビックリしてしまった。
「えっ、びっくりしたぁ、あっごめんなさい」
思わず、何かを注意されたのかと
思い恐れ恐れに、彼へ頭を下げた。
ハルオちゃんは、違うと言う意味で
にこやかに首を振っている。
もう一度、彼女をジッと見つめながら
「さぁちゃん」と言いながら
何かをうったえかけていた。
たまたまそのやり繰りを見ていた
御稲荷様の正面にあるお茶屋の店主が
近寄って来て、彼女達に話しをかける。
「君に、ハルオちゃんが、
さっちゃんって言ったんだろう」
「多分そうだと思いますけど、
それって何かあるんですか?」
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