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今日は2人で一緒に過ごそう。
のんびりと家の近所を散歩する。
こんなかんじで2人で歩くのは久しぶりだ。
寒いから嫌だという美咲を強引に連れだした。
どうしても二人で歩きたくなったんだ。
美咲は「疲れた」といって手を差し出した。その手を握り歩いた。
頬に刺す冷たさと指先から伝わる温かさのコントラストが生きていることを実感させる。
「美咲の誕生日母ちゃんも祝いたいって」
「うん。久しぶりだね。楽しみ」
「そこで、プロポーズするから」
「えっ?なんで先に言っちゃうのよ」
頬が膨れているが喜んでくれているのがわかった。
低い灰色の雲。
冬の空の下で今にも雪が舞いそうになっている。
近々、雪が降るはずだ。
君が笑うたびに息が白く色づく。
これからもずっと
春も夏も秋もずっと
この手を握りながら歩きたいと思った。
END
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