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■ 俺は学生で美咲は社会人。 子供っぽい俺に美咲はよく怒っていた。美咲を怒らすのは日常茶飯事でむくれてる彼女を見てるのも俺は好きだった。 俺は、毎日遊びほうけて美咲には何にも考えてない様に見えてたんだろ? でも、俺だって何にも考えてなかった訳じゃないんだぞ。 だって美咲はあんな立派な会社に転職するし、どんどんしっかりしていくから取り残されたみたいで不安だったんだ。 「すげーじゃん美咲。それってヘッドハンティングってやつだろ?」 「そんな大したもんじゃないよ。ただ、そこの会社の副社長さんが秘書を探してるからどうか?って」 「住中グループったら大手だし副社長秘書なんてすげーよ」 「仕事の内容聞いたらね面白そうだなって思って……私、高卒だし、この機会逃したらこんなやりがいのありそうな仕事、一生出来ないと思うの」 「美咲がやりたいならやるべきだよ」 「うん。でも、私が1番の夢は永久就職だから。それまでのつなぎだからね」 「あっああ。わかってるよ」 美咲は俺より一足早くスーツを着るようになった。 今まで全く興味のなかったブランドのバックを持つようになったり、ヒールの靴を履くようになった。 俺には縁の無いような店でランチを食べて、俺には興味がもてないようなビジネス書を読んでた。 それに比べて俺は、就活もなかなか思うようにいってなくて、でも美咲にはかっこ悪いところを見せたくなくて…… まだ、本気だしてないだけだぞみたいに見栄を張っていた。 本当は必死で美咲を養えるようにって…… 幸せに出来るようにって…… 自分には何が出来るんだろうって悩んでたよ。 何社も落ちて、もしかしたら俺は社会に不必要なんじゃないかなんて、悲劇の主人公気取りだった。
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