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■ 高校二年の三学期。そんな中途半端な時期に美咲は転校してきた。 先生に自己紹介をするように言われるとボソッと「川田美咲です」と名乗りまばらな拍手の中、席に着いた。 美咲は美人なのに愛想が無くて、話しかけられても迷惑そうにしていた。まるで誰とも仲良くする気が無いように見えた。 1か月くらいで諦めたように美咲に話しかけるクラスメイトはいなくなった。 俺はお調子者で、八方美人でカッコつけで……周りの評価ばっかり気にする人間だったからそんな一人でも平気そうな美咲をカッコいいと思った。 帰宅時間が近づいて教室にいたのは彼女一人だった。 この時、俺は別に美咲を好きだったわけじゃない。 ただ、知ってる人間の誰とも違ったから、どんなヤツなのかな?ってちょっと話してみたかったんだ。あえてこの気持ちを言葉にするなら好奇心、興味だ。 だから彼女に好かれたいとかそんなことは思っていないわけだ。 「お前ってさホント無愛想だな」 「関係ないでしょ」 すぐに突っぱねられた。 まぁ、こんな感じの返答だと予想はついていた。とりあえず話を続けようと思ってセンスの欠片もない言葉を選んだ。 「なぁ、友達になろうぜ」 「いやっ」 「お前友達いないじゃん。1人くらいいた方が便利だぞ」 また、「関係ない」とか言われると思ったが違った。 「便利って?」 以外にも食いついてきた。 無い頭を絞る。 「例えば、宿題忘れたら見せてやる」 「忘れないし」 「悩みがあれば聞いてやる」 「あんたになんか話さない」 (もっともだ。美咲は頭が良かった) 「うんじゃぁ、喉かわいたらジュースおごる」 「のった」 「えっ……?」 「喉かわいた」 今思い返せばたぶん喉が渇いていただけなのだろう。 学校の自動販売機で美咲はコーヒー牛乳、俺はフルーツ牛乳を買った。
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