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それから毎日奢らされた。
授業が終わって下駄箱近くの自動販売機で飲み物を買って一緒に帰るのが定番になった。
クラスではあんまりしゃべらないくせに本当はおしゃべりだった。帰り道の美咲はよくしゃべる。
「あのね、昨日勉強してたらすごいこと発見しちゃった」
「なんだよ、美咲は家でも勉強するの?物好きだな」
「当たり前じゃない。おバカなあんたと一緒にしないで。184を6回足したらすごいんだって
184+184+184+184+184+184=?計算してみて」
「えっと……わかんないよっ」
「将来、想史の為になる事だからちゃんと計算しなさいよ」
(めんどくさいなぁ)
答えを出すのに結構時間がかかった。彼女は考えてる俺をニコニコと見つめた。
「えっと……1104?」
「すごい。まさかの正解。想史のくせに正解すると思わなかった」
「バカにすんなよ。足し算だぞ」
「ねっすごいでしょ」
「すごいって?何が?」
「だから184(イヤヨ)って6回言わせたら1104(イイワヨ)になるの」
「あっっ。たしかにすげーな。(美咲の発想が)
でもそれが何で俺の為なんだよ?」
「だから、モテない想史でも6回くらいアタックすればイイワヨになるかもしれないってことよ」
悪い顔でイシシと笑う。
「ひでーな。1回目でイイワヨって言われるかもしんないだろ?」
「710」
「710?」
「ふふっ……ないわ(710)。はっは」
二人の時にだけよく笑う笑顔は可愛くて、俺は優越感に浸っていた。
たぶんすぐに好奇心は好意に変わり……そして3年になるころには確実に恋に変わっていた。
でも、彼女は生意気で我儘で俺がソレを示す隙を与えてくれなかった。
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