無口でおしとやかな男子

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 わたしは二十六歳の男で、都内の会社に勤めているサラリーマンだ。  十一年前に、中学校を卒業している。  三年生のときの同じクラスに、松木誠一(まつきせいいち)という名前の男子がいた。  松木は背が低く、異様なほどガリガリの体型だった。  松木には不可解な特徴があった。  しゃべらないのだ。  ひと言も口をきかないのである。  寡黙(かもく)というわけではない。  まったく言葉を発しないのだ。  声がでないわけではない。  意図的に声をださないのだ。
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