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一目みて、美しいお方だと思った。
漆黒の髪に藍色の目。
世のご令嬢が騒ぐのも分からなくもない。
だが、私はひっかかりを覚えた。
面影に覚えがあるのだ。私の慕う人によく似た・・・。
「.....様、リーザ様」
私の名を呼ぶ声がして顔を上げた。
黙り込んだ私を心配してくれたらしい。
「いえ、なんでもありませんわ。ただ・・・・・」
「ただ?」
ただ、何故この縁談が持ち上がったのか。
望めば、王族との婚約もできただろう。
聞けば、近隣諸国の有力な貴族との話もあったとか。
どうして、そのようなお方が私のような伯爵家の者と結婚するのか。
利益は明らかに他と比べて少ない。
むしろ、ウェルヘルム家の方しかないように思える。
さて、腹の内はいかなるものか。
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