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彼女は美しかった。
灰銀色の髪に、水色の目。
どれも、彼女の美しさを引き立てていた。
彼女の首元に揺れる小鳥の首飾り。
幼い頃に彼女に贈ったものだ。
それを今も身につけている。
惚れた男にとってそれがどれほど嬉しいことか。
そう、今でも俺のことを覚えていると思っても良いだろう。
だから、彼女に好きな人はどのような方か聞かれたときに「お前だよ」と言いたかった。
だけど、代わりに彼女の特徴を言っていった。
俺にとっては遠回しの告白である。
すると何を勘違いしたのか、次々と知らない令嬢のことを言ってきた。
だが、思い出したかのように顔を上げた。
やっと分かったか、と思うのもつかの間、『身分が低いのですね』と言いやがった。
彼女曰くこれは『世間体を保つため』の婚約らしい。
ふざけんなと言いたい。
彼女をずっと想ったことはなんだったのか。
彼女に『その恋、応援します』と言われた時は本気で泣きそうになった。
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