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まぁ、彼女をリーザと呼ばれるようになったのは嬉しい。
敬語を使わなくてもいいことも。
次の日曜日に会う約束もした。
目的は題して『意中の人を振り向かせよう大作戦』の話し合いである。
まず、お前の鈍感さを直せよとツッコミたい。
ふと、訪れた静寂。
改めて彼女をみる。
この国では珍しい灰銀の髪。
腰まである真っすぐな髪を結わずにおろしている。
澄んだ水色の瞳。
抜けるように白い肌。
仮面のような完璧で、作られた微笑み。
その表情からは、感情は読み取れない。
『案外、そう思うのはリーザだけかもしれないな』
ジョアンは心の中で呟いた。
あの時、ジョアンの想い人は誰かと考えていた時の目。
同じ年頃の令嬢達と同じ、楽しそうな表情。
いやもっと幼く、少年のようなイキイキとした顔。
内容は悲しいが。
リーザ、俺はその顔を観たくて仕方ないんだ。
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