夢遊病

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「盗聴器がしかけられてたんです。誰の指紋が出たと思いますか?」 刑事は意味ありげに私を見る。 「ま、まさか。私?」 刑事は首を黙って縦に振る。 在り得ない。 私は無意識のうちに盗聴器を取り付けたりしたのか。 「あなたのインターネットでの購入履歴も残っています 音があるときだけ、録音が起動するタイプのものを購入されてますね。」 私は夢遊病ではなく、二重人格者だったということか。 私のもう一人の人格の恵美子は私の無意識の中で生き、 夫を殺し、義母の部屋につける盗聴器を購入し取り付け、義母を殺した。 「おばあちゃんは、すごく楽しそうに孝子ちゃんの悪口を ご近所の人を呼んだり、電話でご近所の人に話してたよ。 本当に許せないよね。死んで当然だよ。よかったね、孝子ちゃん。」 私はただただ、呆然とするばかりだった。 「今朝、家宅捜索で庭からご主人の白骨化した遺体が確認されました。」 私は世界がぐるぐると回りはじめた。 これは夢よ。 夢なの。 早く起きなさい、孝子。
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