第1章

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 梅雨の合間の真夏日に近い日。  近日中には梅雨明けだろうとラジオが騒ぐ。  真白い日傘の中に居るのが眩しくて、双眸を眇める。  海沿いにはりついたような集落の墓地は、情け容赦なく日傘の及ばない足元を焼く。  潮騒が背中から聞こえてくる。  そっと、耳に入れていたイヤホンを外して、人工音をシャットアウトした。  右手に握っていた水桶と、左手に日傘と一緒に持っていた柄杓を地面にそっとおろす。 「さよなら、なんだって」  だしぬけにそう囁いて、そして塩水の混じった井戸から汲んだ水をそっと熱された石にかけた。 「もう、お骨これ以上入らないから、同じところで永遠に一緒に眠れないんだって」  ずっと、一緒にいたかったのにね。
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