無口なあいつ

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何度も何度もこすりました。 だけどどうしても文字は消えません。 どうして……? 不思議に思った私は消しゴムをじっと見つめました。 そして私は聞いたんです。 『ほんとうに けしていいの?』 男の人の声でも、女の人の声でもない聞いたことのないような声。 最初、それが誰の声だったのか分かりませんでした。 でもその声は確実に消しゴムから聞こえたんです。 驚いた私は消しゴムに話しかけました。 だけど消しゴムからは何も反応がありませんでした。 でもそんなの当たり前です。 だってそれは消しゴムなんです。 どこにでもあるただの消しゴムなんです。 もしかしたら私が聞いたの声は幻聴だったのかもしれません。 だけどなぜか私にはそれが幻聴には思えませんでした。
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