無口なあいつ

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『ほんとうに けしていいの?』 揺れていた私の心にその言葉が深く刺さりました。 そして私は決めたんです。 名前はこのまま残そうと。 予定通りラブレターは返却BOXに入れました。 そして数日後、緊張しながら私がお店に行くとすぐに彼が私の元に寄ってきました。 手には私が書いたラブレターが握られていました。 「手紙ありがとう。でも僕には彼女がいるんだ」 彼は申し訳なさそうにそう言いました。 私は振られました。 結果は残念でしたが、まったく後悔はしていません。 むしろとても清々しかったことを覚えています。 きっとあの時名前を消していたら、そのことのほうが後悔していたでしょう。
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