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「…………ワンコールで出るなんて思うなよ。………無理だって。んで?要件は?……………嫌だ。……………なんで?それはあの人達にやらせらば………他の仕事?…………嫌だね。めんどくさい。…………そう言えば言うこと聞くと思ってんの?……あー、くそっ……分かった。行くから。ん、はい。はい」
電話を終えた景は電話前よりも更に不機嫌な顔でズボンのポケットに携帯をしまうと額に手を当てて重いため息をついた。
「景?」
白夜に名前を呼ばれ顔を上げた景は無言のまま白夜の足元に買った物を置いて
「これ、あげる」
と一言だけ言って白夜に背を向けた。
「え?は?」
現状が理解できていない白夜は足元のビニール袋と景を交互に見て
「は?」
ともう一度言った。
「捨てるなり、持って帰るなり好きにしていいから。見た目ほど量はないし問題ないと思う」
「いや、そうじゃなくてだな…」
「ちょっと悪いけど俺急用できたんで」
景はそう言うと白夜の返事も聞かずに駆け出し建物と建物の間の路地に消えた。
景の置いて行ったビニール袋と共にただ佇む白夜は唖然としてから何かを察したのか呆れた表情で笑った。
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