タイブレーク

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「ゲームセット 勝者! 由美子」 「「ありがとうございました」」 そんな活気あふれる声が聞こえる夕方、この時間は私たちだけの時間だ。 私は平日の夕方、昼間のありふれた世界とは隔絶し、テニスに打ち込む。部内での成績はまずまずだ。中学の時にはすぐにやめてしまったのに、入部してからもう丸1年になり、2年目の春がやってきた。まさかここまで続くとは思っていなかった。それもこれも、 「ほらいくぞ!」 「はい!」 「いいね! その調子! ほらもういっちょいくぞ!」 すらっとした体形で声もいい。われらの部長。私は彼に憧れてこの部に入ったのだ。そしていつか彼に追いつこうと、そんなことを考えながら、ずるずると時が経っていた。なんだかタイムマシンにでも乗ってしまったかのようだった。 部が終わると、みんなそれぞれが違う方向へ向かい消えていく。そんななかで 「おーい 由美子」 「わっ」 そうやって抱き付いてきたのは親友の葵だ。葵とは小中学校が一緒で、いわば幼馴染だ。 「驚いた。ショックで死んじゃったらどうするの」 「そしたらそんときだよ。それが死に時だったってことよ。大体いつも同じ行動をとってるじゃない」 「そんな些細なこと。すぐ忘れちゃうよ」 「わかったわかった。謝るから。いつもの場所いこ? ね?」
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