第15章 とろけるミツバチ

7/25
前へ
/25ページ
次へ
「あーあ。征司お兄様じゃなくてよかったよ」 人の気も知らないで。 洗面台にもたれかかったまま 和樹がしらっと言う。 「言えてる。今の、彼が聞いててみろ。まったく火に油を注ぐようなもんだ」 「燃えますね」 「間違いなく」 冗談を言って 笑いあって。 ふっと こちらも気が緩んだ瞬間。 「アアァッ……!」 狙ってたんだ。 シザーハンズみたいな彼の指。 見事に突き立てられていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加