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期間が決まっていなかったのを、研修制度を使えるように取り計らってくれたのが、あの石倉なんだから。
あいつ、絶対まだ、隙あらば玲実を奪おうと思ってるぞ。
玲実の前では殊勝な顔をしているけれど、俺には挑戦的だもんな。
ほんと、早く俺だけのものになって欲しい。
自分がこんなにも独占欲が強かったなんて、知らなかった。
「和志がヤキモチ妬くなんて、初めて見たなあ」
と姉貴がニヤニヤして言うので、腹いせに、皿に残っていたメロンパンの皮を食べてやった。
「あー、最後のお楽しみが!」
つわりで、やたらとメロンパンが食べたくなるらしく、最近は皮だけで売られているこれがお気に入りらしい。
「つわり、まだ続いてんの?」
「うーん、そのうち落ち着くんだろうけどね。
お腹がすくと、気持ち悪くて」
予定日は9月。
連休に玲実が帰って来る頃には安定期に入っているので、会おうと約束しているらしい。
玲実は、来週、旅立つ。
かっこよく、見送ってやりたいと思っていたのに。
結局、離れがたくなってしまって、彼女の家族に散々からかわれる羽目になってしまうのだけれど。
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