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『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
僕が妹の紅葉と仲良く手を繋いで登校していると。奇妙な声が聞こえて気がしました。
『紅葉。今の声が聞こえましたか?』。
僕の左手と右手を繋いで、左手に鞄を持っている紅葉は。僕の言葉にカクンと頷きました。
『はい。兄様。奇妙な声が聞こえた気がしましたが…』。
僕と紅葉の兄妹は手を繋いだまま辺りを見渡しましたが。朝のゴミを漁るカラス以外は生き物は見当たりませんでした。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
再び奇妙な声が聞こえたので。声がした方を見てみると、電柱の陰に段ボールが置いてありました。
『認知症のお年寄りが捨てられているのでしょうか兄様?』。
『それにしては段ボールが小さな気がしますね紅葉。両手両足を切り落としでもしない限りは。小柄なお年寄りでもあの大きさの段ボールには入らないと思いますね』。
『では、両手両足を切り落とされた認知症のお年寄りが捨てられているのでしょうか兄様?』。
『その可能性は否定出来ませんけれど。その割りには声に切迫感が感じられませんね紅葉』。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
『確かに兄様の仰る通りですね。極めて平坦な声に聞こえますね兄様』。
紅葉は自分の右手を僕の左手に繋いだまま。左手に持っている鞄を地面に下ろして。通学鞄の中から肉切り包丁を取り出しました。
『えい』。
紅葉は通学鞄から取り出した肉切り包丁を、電柱の陰の段ボールに向けて投げつけました。
『ザシュッ!!』。
紅葉が左手で投げつけた肉切り包丁は、電柱の陰の段ボールを切り裂きましたが。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
肉切り包丁に切り裂かれた段ボールからは。
同じ言葉を繰り返すコケシに見える物体が転がり出て来ました。
『…コケシに見えますね紅葉』。
『はい。兄様。子消しに見えますね』。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
『ジャキッ!!』。
紅葉は通学鞄から改造拳銃を取り出して。右手は僕の左手と繋いだまま。左手で改造拳銃を構えてコケシに見える物体に狙いをつけました。
『兄様。子消しを射っても宜しいでしょうか?』。
僕は微笑みながら紅葉に対して頷いて。
『ええ、勿論ですよ紅葉。紅葉のしたいようにしなさいね』。
『ありがとうございます。兄様♪』。
紅葉も笑顔で頷いて。改造拳銃を射ちました。
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