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『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
お昼休みに妹の紅葉と一緒に屋上から校門の方を見たら。
汗だくになっている身長190㎝の体育教諭が、必死にコケシに見える物体を追い掛け回しているのが見えました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
コケシに見える物体は。体育教諭の必死な追跡をコロコロと転がりながら躱していますね。
『キーンコーンカーンコーン』。
午後の授業が始まる予鈴が鳴ったので。僕と紅葉は仲良く手を繋いで教室に戻りました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
午後の授業が終わり、下校する為に紅葉と手を繋いで校門の方へ向かうと。
結局コケシに見える物体を捕まえる事が出来なかった体育教諭は。校門の横の木で首を吊っていました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
僕と紅葉が手を繋いだまま周りを見渡すと。
生徒も教員も全員顔を伏せて目を会わさないようにしたので。木から吊り下がっている体育教諭の横を通り校門から学校の外へと出ました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
コケシに見える物体は。僕と紅葉の兄妹の後ろをコロコロと転がりながら付いて来ますが。
僕達兄妹は楽しく会話をしながら歩いていたので、途中からコケシに見える物体の事を忘れていました。
『ピッピッピ』。
僕と紅葉の兄妹が暮らすマンションのセキュリティロックを外して、マンションの中に入り。部屋の鍵を開けて部屋に入って、今日はそのまま一度も部屋から出ませんでした。
翌日紅葉と仲良く手を繋いだままマンションの外に出ると。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
気のせいか少しだけ寂し気に外で待っていたコケシに見える物体が。嬉しそうに僕達兄妹の方へと転がって来ました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
コケシに見える物体は。元気に僕達兄妹の周りを、グルグルと回転しながら転がっていますね。
僕と紅葉の兄妹は。仲良く手を繋いだまま学校へと向かい、話に夢中になって今日も途中からコケシに見える物体の事を忘れていました。
『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。
コケシに見える物体は。僕と紅葉の兄妹が校舎に入ると少しだけ寂し気に、校門の辺りをコロコロと転がっていますね。
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