第1章

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『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。 帝国歴440年。僕と紅葉の兄妹が全人類の統治者として君臨するようになってから、440年の月日が経っていました。 『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。 帝都の玉座の間で、共同君主である僕と紅葉の兄妹の回りを。コケシに見える存在が楽しげにコロコロと転がっていますね。 『兄様。今日は妙に子消しに見える存在が楽しげに見えますね?』。 僕は不老不死の肉体を手に入れて、440年前と何一つ変わらない外見をしている妹の紅葉に対して。微笑みながら頷きました。 『そうですね紅葉。覚えていませんか?。今日は僕と紅葉の兄妹が、学校に登校する途中に。このコケシに見える存在を見付けた記念日ですよ』。 『ああ、そうでしたね兄様♪。あの日も兄様と私は手を繋いで学校に向かっていましたね♪』。 『ええ、紅葉そうですね。今や僕と紅葉の兄妹は不老不死の肉体を手に入れて。全人類の統治者として君臨しています。僕達兄妹は全ての望みを叶えましたね』。 『拾ってくれ~。拾ってくれ~』。 僕と紅葉はお互いの顔を見つめ合い頷きました。 『拾ってあげますよ』。 『ピタッ』。 コケシに見える存在は動きを止めて、僕達兄妹の様子を伺っているようですね。 『僕と紅葉の兄妹は全ての望みを叶えました。もうこれ以上望む事は何一つありません。さて、あなたを手に取った時に何が起きるか楽しみですね』。 僕と紅葉は仲良く手を繋いで。同時にコケシに見える存在を拾いました。 …………………………。 僕と紅葉の兄妹は、朝のゴミを漁るカラスしか見当たらない。懐かしい通学路に仲良く手を繋いで立っていました。 僕と紅葉の兄妹はお互いの顔を見合わせた後、電柱の陰を覗き込みましたが。そこには段ボールはありませんでした。 『成る程。確かにこれは面白いですね♪』。 『はい。兄様♪。今度はどんな人生を送りましょうか♪』。 僕と紅葉の兄妹は。仲良く手を繋いだまま学校へと向かいました。
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