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「…ぶふっ」
真っ先に噴き出したのは勇さんだった。
口元を手で押さえ顔を逸らしてはいるものの、その大きな肩が震えてしまっては隠す意味をなさないだろう
「まぁ当然の結果だな」
哲さんも面白そうにクツクツと喉を鳴らし笑っている
っていうかそういう風に笑うこともできるんですか!?
俺はなぜ羽田さんが笑われているのかということよりも、その哲さんの笑顔に唖然として彼を見上げた
でかい男2人の笑いはその後羽田さんが「オイ」とキレるまで続いた
「っ、ハァー…すみません、このやりとり久しぶりで。」
「蹴るぞ勇」
「ヤメテクダサイ」
目元に涙まで浮かんだ勇さんを下から睨みつける羽田さん
そのやりとりでなんだかんだ仲がいいんだと俺はなんとなく察する
「というわけで答え合わせだ。コイツ、こう見えて今年30歳になったばかりのアラサーだぞ」
耳元でそっと囁かれ俺は目を見張る
もちろん哲さんの重低音がゾクリとした、とかではなく(いやゾクッとはしたけれども。)え、哲さんより年上なの?という意味で。
「……え、え!?」
ぷくっと片方の頬を膨らませる姿はスーツじゃなければ俺と同い年に見えなくもない。
もしかして俺も30歳になってもこうして年下に視られ続けるのだろうか…
でも羽田さんは怒っていながらも自分の童顔を生かす仕草をわかっていてやっているような気がした
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