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「ってか金平さんこれからどこ行くんですか~?」
「珍しくスーツじゃないですね」
なにやら穏やかではない哲さんの雰囲気を感じ取ったのか、はたまた偶然か、羽田さんはのんびりとした声で問いかけた
それに便乗するように勇さんも乗る
「これからデート。だから邪魔はするなよ?」
「え!デートですか!?」
「うわーいいなーー!俺もデート行きて~」
なんの躊躇いもなくそう言い放った哲さんを俺は目を見開いて見上げる
驚いたのは勇さんも同じだったようでかなり狼狽えているが、羽田さんはただただ”羨ましい”と嘆いていた
「そういうわけだ。行くぞ颯太」
「え!?あ、はい!」
哲さんに引っ張られるようにしてフロアを抜ける
後ろを振り返れば凸凹コンビの2人が俺たちに向かって手を振っているところだった
入ってくるときは物珍しさからか至る所に視線が飛んで気にならなかったが、今はやたらと自分に刺さる視線が痛い
この容姿であの性格
男らしさ溢れるこのイケメンを世の女性が放っておくわけもない。隣を歩く俺はどうやら注目の的らしい
しかし皆遠巻きに見てくるだけで、実際に俺たちに声をかける人は誰一人としていなかった。
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