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思わず彼の耳元に手を伸ばして、なぞるように耳の輪郭を辿る
耳の形までもいい哲さんのそこがピクリと動き、困惑気な瞳がまた俺を捉えた
「…なんだ」
「へへっ…よくわかんないけど、俺嬉しいです。」
妬いた、とは俺の良く知るヤキモチという感情でいいのだろうとは思うが、哲さんがヤキモチを妬く理由は一切不明
しかし妬かれることに対して悪い気は全く起きないので、俺はヘラリと笑って見せた
その笑顔に、哲さんはきょとんと目を丸めて次第にほほ笑む
「お前には負けるよ。変なこと言って悪かった。
それじゃあ、行こうか」
「はい!」
ハンドルから顔をあげて俺の手を取れば、指先に躊躇いなくキスを落とす
軽いリップ音を響かせて彼は挑発的な目で俺を射抜いた
そうして車はゆっくりと発進し、駐車場を抜けていった
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