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「じょ、冗談でもそういうこと言うのはやめてください。あの人が仕事相手に手出すわけないじゃないですか。」
「え、金平さんじゃねーよ?」
「えっ」
「えっ」
暫しの間があって、漸く理解が追いついたのか稲葉は羽田のことをかなり蔑んだ目で見つめた。
オイコラ、と羽田も一瞬睨みを返すがそれもすぐにいつもの表情へと戻っていく
「実際、金平さんかなり雰囲気違ったよな」
「そうですね…昨日までかなりピリピリしてたのに人が変わったみたいに丸くなって。」
「優しいですーって空気纏って颯太くんを守ろうとしてんの丸わかり。でも俺が颯太くんと話し始めたらすんげー睨むの。あれ結構ビビった。」
思い出しても…と羽田は自分の両腕を抱えるようにしてさする
それを見た稲葉も苦笑い
「やっぱり怒ってましたか。まぁ俺たちの前じゃあれが基本ですけど。」
「書類提出は絶対だったけどわざわざ俺らに顔見せに来て、しかもデートだなんて公言しちゃう辺り…かなり本気でモノにしたいって思ってる感じ?」
「あの人が本気なんて出したら、相手は絶対逃げられなさそうですね」
羽田と稲葉は2人そろって見えない相手に向かって”ご愁傷さま”と合掌をする。
カップの底に残っていたコーヒーを飲み干して、羽田は大きく伸びをした。
「そんじゃーま、俺たちもさっさと仕事片付けてデートでも行きますか!」
「お断りします」
「ケチかよ!!」
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