再会は偶然でした。

66/74
前へ
/187ページ
次へ
自ら哲さんの懐に潜り込むつもりが、その1歩手前で逞しい右腕が俺の腕を捕まえて引き寄せた 流れるように顎を支えられ、頭一つ分は違うであろう身長を埋めるように俺は背伸びをして哲さんと唇を合わせる 「……ん、ふぁ」 合わせた唇から漏れ出るのは僅かな吐息と、俺の気の抜けた魂 フレンチキスからだんだん深くなって息をする間も惜しいというほどに求められ、求め、さらに深くなる 負のスパイラルのような快感の坂道を転げ落ちる半歩手前 哲さんとキスをして、こんなに深く絡み合ってしまったら。もうイクとこまでイかないと止まれない。 戻ることなんてもう不可能。それはたぶん出会ってしまった時点で振り返ることもできないのだろうけれど。 回数を重ねるごとに理性の糸が細く脆くなっていて。 ほら今も、こうして舌と舌を絡ませてヤラシイ水音を響かせているだけで俺のアソコはジンジン疼く 「っ、てつさ、……窓、開けっぱなし……」 「いいじゃないか。颯太の声を聞かせてやれば」 厚い胸板を押してほとんど意味のなさない抵抗をしてみるも、僅かに離れた唇の間で彼は笑うだけでまたすぐに覆いかぶさった 右手はすでに俺の服の中をまさぐり始めていて、哲さんには負けるけどうっすらとついた腹筋を撫で、感触を確かめるように蠢いている 「それにほら。こんなおいしい状況を1秒たりとも逃すのはもったいないだろう?」 耳元で囁くようなその言葉 ちくりと胸が痛んだと同時に、ギュンと俺の心臓も跳ね上がった
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

851人が本棚に入れています
本棚に追加