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きょとん、と
目を丸くして哲さんの顔を見つめる。
真っ暗な車内だけど哲さんの耳が若干赤くなっているのを見つけて俺はさらに驚いた
「…合鍵って、哲さんの部屋のですよね?」
「いつ来てもいい。この前みたいに家の外で待たれていたら不安だからな」
「……俺とまた会ってくれるんですか?」
「何言ってるんだ。今日はそればかりだな」
はぁ?とでも言いたげな表情に変わって俺を見つめる哲さん
俺は次第に顔に熱が集まっていくのを感じて咄嗟に哲さんから視線を逸らした
「ま、待って、待ってください。ちょっと落ち着かせて……」
「ダメ、待たない」
顔を隠すように交差した両手を掴まれて無理やり開かれる
さっきまで赤くなってたのはどっちだよってツッコみたくなるけどもう哲さんの目は力強く俺を見据えていて。
目が泳ぎまくってパニック起こしてる俺を逃がさないように彼は俺を引き寄せて抱きしめた。
「迷惑だったか?」
「め、迷惑なんて思ってません…ただ驚きすぎてなんて言えば……」
「受け取ってくれるだけでいい。今はまだ、な。」
抱きしめられると自然と耳元で哲さんが囁く形になって俺の脊髄はゾクゾクと震える
妬むほどに完璧なこの男性が俺の体を力強く抱きしめている
それだけで俺は喜びに震え、脳の隅々まで痺れたような感覚になった
「……わ、かりました。頂きます」
頷きと共に返して俺はそっと哲さんから離れた
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