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「さっきの、友達?」
車を走らせながら哲さんは俺に聞いた
「…はい、高校からの親友です」
先ほどの彼の様子を思い出し、不安に駆られる。
もしかしてなんか重要な話でもあった?しかしそういう風には見えなかった。
「かなり怒っているように見えたが、いつもあんな感じか?」
どんな風かと言われると、哲さんのところに行くのをどうしても引き留めたい感じ。
「いいえ、いつもはもっと冷静な奴なんですけど…」
「…そうか」
その言葉と同時に哲さんの車は地下駐車場に吸い込まれていく
タイミングの問題か、それきり哲さんは言葉を発しなくなってしまった。しかしそれは俺も同じでどことなく気まずい空気が2人の間を流れた。
「…あー、シャワー借りてもいいですか?」
「どうぞ」
それは部屋に入ってからも変わることはなく、今までとは違う異様な空気に俺はたじろぐ。逃げるように風呂場へと閉じこもる。
自分の体に残る昨夜の残骸を鏡越しに目に入れないようにしながら、俺は熱いシャワーを頭からかぶり続けた。
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