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哲さんには言わないけれど、俺はこの建物に入るのは初めてではなかった。
まぁ前に行ったのは生活安全課というところだけど
ただしこんな裏口的な場所から入るのは初めてで、見慣れない風景を物珍しく見ているうちに目的のフロアに到着してた。
「緊張してる?」
「んー、まぁ…いろんな意味では」
「なんだそれ」
あ、笑った。
エレベーターを出たと同時に哲さんの声が柔らかく震えて、俺は彼の背中を見つめる
エレベーターホールを抜けるとだだっ広いフロアにずらりと机が並んでいた。
それはいくつかの塊になってまとまっているようで、哲さんは迷うことなく奥へと進んでいく
机の数のわりに人は少なく、やはり土曜は非番の人が多いのだろうかと観察しながら彼の後についていった
天井からはいくつかプレートが吊り下げられており、ドラマで見たような文字が目に入る
そうして哲さんが近づいていった机の塊付近の上には”刑事捜査第一課”と書かれたプレートが下げられていた
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