石鹸の銘

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今日も暑い。 こういうときこそ、カキ氷でしょ。 なんて思っていたのに、オープニングセール開催中という幟(のぼり)に目を引かれてそっちへ足が進む。しかもひんやりとした冷気もおいでと呼んでいる。 これは行くしかないでしょ。 店内に入りすぐに場違いだと気づく。 このいい香りは、男の俺が立ち入る場所じゃない。 あの四角か丸の香り豊かな物体は見間違いようのない石鹸だ。 だが、時すでに遅し。 「いらっしゃいませ」 可愛らしい女性店員に声をかけられ愛想笑いを浮かべることしかできなかった。 情けない。 「プレゼントでしょうか?」 そんな言葉に「はい」と思わず返事してしまった。 そうだよな、どう考えたって男が一人で石鹸専門店に自分用の石鹸を買にくるはずがない。 いや中にはいるかもしれない。 まぁいいや、とにかくプレゼントぽいものをさっさと買って退散だ。 と思ったのだが、奥にレジカウンターに張られたチラシに釘付けになった。
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